「秋の特別公開」(月刊コラム【No.88】2010年10月)

七代目小川治兵衛(植治)作の京都市指定の名勝庭園である光雲寺の中庭は、昨年より二年がかりで、池の護岸工事・排水路・築山・植栽・杉苔植えなどを行って修復を試みてきたが、ようやくひとまずめどがつき、来たる11月20日(土)から12月5日(日)まで、「秋の特別公開」を開催することとなった。京都市と京都市観光協会との協賛であり、JRの各駅や京都の主要ホテルに張り出される予定だということである。

金戒光明寺(黒谷さん)と同時公開となるが、京都市指定の名勝庭園でも、一部の庭園改修はこれまであったものの、光雲寺の場合のように全面的改修をした例は極めて稀であるということで、京都市観光協会との話し合いの中で紅葉の時節の公開を決定した次第である。江戸時代には光雲寺の加藤清正公ゆかりの手水鉢を見てから黒谷さんの方に参詣するという人が多かったという記録があるので、何か今回の同時公開には奇しき因縁を感じるのである。

もっか、詳細な「庭園改修報告書」を京都市文化財保護課の専門職の方に依頼して作成して頂いているところであり、池の護岸修復や庭園改修の過程のパネル展示も予定している。拝観に見えられた方々には、通常の拝観だけではなく、庭園の改修過程をもご覧頂き、日頃の喧噪を離れてゆったりとした安らぎのひとときをお過ごし頂く機会を提供できたらと願っている。

中庭の本格的な整備をする前に、これも手つかずになっていた前庭の池の整備と杉苔植えと疎水からの導水設備工事とを、住職を初め光雲寺のメンバー総出で造園業者と一緒に行い、すでに完了している。池は積年の泥をさらえることから初め、水漏れを防ぎ、また石を敷き詰めて錦鯉が動いても水が濁らないように工夫した。取り出したすさまじい量の泥は栄養十分なので、畑の土に利用したところ、作物の出来映えがよくなったのは嬉しいことであった。

池の護岸工事はまず詳細な調査から始め、泥ざらえをして、護岸の石をひとつひとつ丁寧に復元しながら設置する護岸工事を終えたあとで、版築と呼ばれる専門的工法で聚楽の土を階段状に突き固めて土が雨などで流出しないようにした上で、苔植えを行ったのである。この間、造園業者さんは実に根気強く取り組んで頂いた。特に護岸の石の設置は周りの土を突き固めながらする必要があり、傍らで見ていても難しい施工であることが感じられた。この工事を引率する庭師さんはそのために体重が10キロ以上減ったということである。

苔を植え、園路ができて砂利石が敷き詰められると、ますます庭の風情が好くなった。これからもう少し杉苔を植え、竹垣を作る予定であるが、どうか大勢の方々に新たになった光雲寺の庭園をご覧頂きたいものである。

なお、11月の月例坐禅会はこの特別公開のため第4日曜日の28日は休みとなり、14日のみとなります。