「看月亭と閑雲庵」2017年10月【No.172】

大本山南禅寺からの要請で「南禅寺禅センター」という看板を掲げて年間一万五千人に及ぶ拙寺の光雲寺には多くの方々が見えられます。そうした人達の中には、紅葉や桜の時節のような繁忙期には京都に来たくともなかなか宿泊所が見つけにくいという人や、ときには光雲寺に泊まって坐禅や文化体験をしたいという方もおられます。そうした方々のために是非ともご紹介したいのは、光雲寺の境内地で「京都文化協会」と「葵ホテル&リゾート」とにお貸ししている500坪ばかりの土地にあります、「看月亭」と「閑雲庵」という二棟の建物です。

この二棟の名前は京都文化協会から依頼されて小衲が名前をつけ、南禅寺の管長猊下に揮毫して頂いたものを、ちょうど手持ちの栂(とが)の木を使って知り合いの神戸在住の扁額作成に堪能な和尚様に依頼して彫って頂いたものです。「看月亭」と名づけましたのは、東山を借景にしたこの庭から見る月や星が実に見事だからです。「閑雲庵」と名づけましたのは、のどかな雲のようなゆったりした気持ちで宿泊して頂きたいという気持ちからです。

「京都文化協会」と「葵ホテル&リゾート」さんのご尽力のお蔭で、このたび見事にこの二棟が見違えるように生まれ変わりました。いずれも一棟貸しです。葵さんの支配人さんは「この看月亭はおそらく葵では一番のところだと思います」と感激の面持ちで述懐しておられました。七代目小川治兵衛(通称、植治)作の庭も、作庭の権威であられる尼崎先生のご指導のもと整備され、面目を一新しました。背景には哲学の道があり、桜の時節には見事な桜並木をご覧頂けますし、錦鯉の泳ぐ池のある庭には紅葉が何本もありますので、11月下旬には見頃となります。

看月亭の改修工事を施工したのは京都宇治のツキデ工務店です。檀家総代さんのお宅がこの工務店の施工した新築で、その伝統的工法を見て、小衲がこの工務店ならと思い、ご紹介したのです。多くの工務店との交流のある葵さんの支配人さんも、「ツキデ工務店さんはとても綿密で仕事が丁寧です」と感心しておられました。皆さんもご覧になれば、きっとその施工の素晴らしさに感嘆されることでしょう。

葵さんはさらに隣接する家を購入されて「酵素風呂」を運営されることを計画中です。ご存知の方も多いようですが、嵯峨嵐山にある「酵素風呂」は酵素でおがくずを温めてそれに15分ほど入るというもので、健康にとてもよく、特にガン患者さんには効果があるといわれております。小衲も何年も前から時折行っておりましたが、葵さんが酵素風呂に関心がおありになるということをお聞きして驚きました。葵さんは酵素風呂を交通の便のよいこの場所に設置して多くの人々に利用して健康になって頂きたいという願いをもっておられるようです。市川海老蔵さんも「南座の講演のあるときに酵素風呂に入ると頑張り通せます」といっていたそうです。

以上で光雲寺の「看月亭と閑雲庵」および「酵素風呂」のご紹介は終わりますが、宿泊などご希望の方は「葵ホテル&リゾート」さんの方にお電話頂ければ幸いに存じます(075-354-7770)。

なお、今月のコラムはパソコンの不具合で公開が遅れましたことをお詫び申し上げます。

参考リンク:京都の町屋宿泊 葵 KYOTO STAY

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