「南禅寺文化講座」の講演 2024年11月【No.255】

 11月19日に私は例年恒例の「南禅寺文化講座」において「三昧境への道」という演題で、1時間の講演を致しました。まず最初に以前のコラムでも言及しました「門より入るものは家珍にあらず」という言葉を紹介して、他人の話を聞いた […]

「良馬は鞭影を見て行く」2024年10月【No.254】

「良馬は鞭影(べんえい)を見て行く」という言葉があります。優れた馬は鞭(むち)で尻を打たれなくても、鞭の影を見ただけで速度を上げて走るという意味です。禅宗では、師匠から格段の指導や指示を受けなくても自発的に工夫三昧に打ち […]

「門より入るものはこれ家珍にあらず」2024年9月【No.253】

禅では「門より入るものはこれ家珍にあらず」という言葉があります。これはとても大切なことですので、今回はこの言葉についてお話しようと思います。 「門より入るもの」とは、外から入ってきたものという意味で、書物を読んで得た知識 […]

令和6年「徒弟安居会」 2024年8月【No.252】

 大本山南禅寺では7月21日(日)から27日(土)までの1週間にわたり、「徒弟安居会」を開催致しました。この「徒弟安居会」というのは何らかの事情で僧堂で修行する機会がなかった人たちに対して、住職資格が取れるようにと戦後設 […]

「仏縁」2024年7月【No.251】

 最近は「仏縁」を感じざるを得ない色々な人たちとの出会いがあります。或る有名な門跡寺院の門跡さんが副住(職)さんを伴い、「土曜の夜坐禅に参加させますので、ご指導をよろしくお願い致します」と依頼に見えられたのです。私は仏陀 […]

「画餅、飢えを充たさず」2024年6月【No.250】

拙寺の南禅寺境外塔頭・光雲寺では、毎年境内の3つある池と墓地の6つの大鉢に蓮を植えております。最初は住職である私が中心となってやっていたのですが、蓮を植えるのはなかなか厄介の作業である上に、せっかく植えても(錦鯉のせいと […]

「禅の実参実究」2024年5月【No.249】

 禅では、「釈迦牟尼仏がこの世に出現されて、仏法を示されたということなぞない。達磨大師がインドから中国に来られて、禅宗の初祖として法を伝えられたという事実などない」ということを申します。「仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うて […]

「禅関策進」2024年4月【No.248】

禅の修行に関心を持たれる方の中には、『禅関策進』という書をご存知の方が多いと思います。雲棲袾宏(うんせいしゅこう)という中国明末の高僧が多くの語録などの中から禅修行の模範となるような事例を集めて編纂したものです。特に臨済 […]

「幸齢者」の推奨2024年3月【No.247】

最近月二回の月例坐禅会には毎回20人近い参加者がみえます(参加費千円)。斎座のうどん(つけ麺)と最後のお抹茶茶礼がありますので、準備する係りはさぞかし大変だと思います。それでも初めて参加した人たちが引き続いて来られるのは […]

「脱力の勧め」2024年2月【No.246】

読者の皆さま、新しい年を迎え有意義にお過ごしのことと思います。令和6年1月1日に1月号のブログをお送りすべきところ、手違いで送信できておりませんでしたので、1月号のブログを2月号にかえて、本日配信させていただきます。昨年 […]

「禅の調息」2023年12月【No.245】

 去る10月28日に「南禅寺文化講座」が本山の龍淵閣で開かれました。これは例年この時期に恒例で行われる催しです。最初に管長である私が「調息と公案工夫」という演題でお話し致しました。その後30分ほどの椅子坐禅があり、引き続 […]

「畑作務の功徳と法悦」2023年11月【No.244】

禅の臨済宗では百丈懷海(えかい)禅師以来、「一日作(な)さざれば一日食らわず」を標榜して、毎日作務三昧の生活を送って、伽藍を清浄に保つことが通例となっております。その作務の中でも、畑を作って無農薬野菜を育てる作務は大切な […]

「臨済宗の禅修行」2023年10月【No.243】

今年の1月から光雲寺に下宿し、2月12日に得度式を挙げたドイツ人の青年については、以前に何度かお話し致しました。彼は「早く僧堂に入って本格的な禅の修行をしたい」という念願をもっていますので、この10月4日に京都の八幡にあ […]

ブッダの調息・「入出息念定」2023年09月【No.242】

最近は坐禅研修の際などに、ブッダ(お釈迦様)がその行法によって解脱を成就された「入出息念定」(アナパナサテイサマーデイー)の実践を勧めております。これは私たちが普段無意識のうちにおこなっている出入りの呼吸に集中するだけで […]

「徒弟安居会」2023年08月【No.241】

コロナが5類になって以降、これまで控えていた色々な行事が行われるようになり、多忙になったのは、おそらく皆さん方のご家庭でも同様かもしれません。私どもの大本山・南禅寺でも7月下旬に徒弟安居会(あんごえ)と合同得度式が相次い […]

「孤危立せず、道まさに高し」2023年07月【No.240】

私のお寺では月二回の月例坐禅会を開催しております。提唱の講本は禅宗で「宗門第一の書」と称される『碧巌録』です。先日その五十二則の「趙州(じょうしゅう)渡驢渡馬(ろをどし、ばをどす)」の則を提唱して、80歳で初めて住山され […]

京都大学「第5回清風荘サロン」2023年06月【No.239】

京都大学の近くの今出川通に面した場所に3500坪ほどの広大な庭園を備えた「清風荘」という別荘があります。もともとは徳大寺家の清風館という名の別荘でしたが、西園寺公望(きんもち)公の弟である住友春翠が徳大寺家より譲り受け、 […]

「名僧の修行ぶり(通翁鏡圓禅師)」2023年05月【No.238】

私は令和2年末以来、南禅寺本山の機関誌である「瑞龍」(南禅寺の山号を瑞龍山と称する)誌上に「古佛の芳躅(ほうちょく)」と題して名僧方の修行経歴を連載しております。 「古佛」とは特にずばぬけた名僧を尊称していう呼び名であり […]

「抜隊得勝禅師」2023年04月【No.237】

以前にこのコラムで「澤水長茂禅師」のことを述べた際に、澤水禅師が抜隊(ばっすい)得勝禅師(1327−1387)の法語の通りに工夫に邁進され、大悟徹底されたということをお伝えしました。今回はこの抜隊禅師のことを述べようと思 […]

「栂尾の明恵上人」2023年03月【No.236】

 「栂尾(とがのお)の明恵上人」というと、京都の高山寺所蔵の国宝「樹上坐禅像」を思い浮かべる方が多いかと思います。このたび梓澤要さんが新潮社から『あかあかや明恵』という小説を出されるに際して、書評を依頼されました。梓澤さ […]

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