「ガンとの闘病」(月刊コラム【No.87】2010年9月)

今月はいささかこれまでとは相違したテーマについてお話ししたい。「ガンとの闘病」といっても、小衲自身が現在罹患しているわけではないが、昨年以来、何人もの親しい知人や、知人に関わりのある人たちが、ガンに襲われた。中には治療空しく亡くなった方々もいる。相国寺僧堂の師家をしていた小衲の実弟も、二年数ヶ月前に前立腺ガンで遷化した。

皆さん方の回りにもきっと何人かのガンと闘病中の知り合いがおられるはずである。それほどこの病はわれわれの身近になってきており、自分がいつガンになっても不思議ではない。ガンとの闘いは情報戦だといわれている。手術・放射線・抗がん剤といういわゆる三大療法にのみ頼っていては、かえって免疫力の低下を招き、助からないことになる。

弟の場合、大阪の実家近くにある病院の人間ドックを毎年のように受けていたのだが、一度小衲が受けている「日赤のドックを受けては」と勧め、その結果、オプションの前立腺ガン腫瘍マーカーの検査で六百という異常に高い数値が出て、発覚したのである(四以上あるとガンの疑いで、精密検査の必要がある)。以前から患部の異常を感じていたとのことであるが、先の病院では腫瘍マーカーの検査がなく、不調を訴えたのだが、担当医は「別に異常はありません」と断言していたという。まことに憤りを通り越して痛恨の極みであった。

それからは、京都にある大学病院へ通いホルモン療法を受けたりしながら、食事療法など色々と試みたのであるが、二年で効かなくなり、ついにはかなり強い抗がん剤を十三クールも投与するに到ったことをあとになって知った。抗がん剤の副作用に関しては、以前から弟とはその危険性について再三話しあっていたのではあるが、担当医の勧めで受け容れることになったわけで、「この抗がん剤がこれほどひどい副作用があるとは分からなかった。こんなきつい薬は決して使うべきではない。このことを君はほかの人たちにどうか伝えてほしい」と、弟は辛い体調のなか、介護していた人に依頼したという。

西洋医学は病根を縮小させることに急なあまり、身体全体のことを顧慮することが少ないという問題点はつとに指摘されるところであるが、明らかに抗がん剤の副作用が免疫力低下を招き、遷化を早める要因になったと思われるのである。これに対して、自然療法や代替療法を選択した人たちは、末期ガンの人でも実に多くの人がガンを克服しているのである(東城百合子著『自然療法が体を変える』、船瀬俊介著『病院に行かずに治すガン療法』、参照)。

安保徹氏、船瀬俊介氏、東城百合子氏などの著書を読むと、ガンは決して不治の病ではなく、これまでのライフスタイルを根本から変え、肉食を避けて玄米菜食にし、ガンに対して恐怖を持たずに「必ず治る」と確信して、笑顔で適度に運動をして過ごせば(笑えば、ガンを攻撃するNK細胞が六倍も増える)、自然治癒に至るという。「ガンがそんなに簡単に治るなら医者は苦労しない」と小衲にいわれた医師もいたが、それは彼らが三大療法に固執して、「生活」と「食事」と「運動」と「心」を変えるという自然療法の本質や意義を見ようとしないがためである。

自然療法としては、ビワの葉温灸・里芋パスタ・コンニャクの温湿布などがよく知られている。温泉や温熱治療をして身体を芯から温めるのも、熱に弱いガンに対して効果がある。色んな体験談を読めば読むほど、末期ガンの人でも奇跡的な治癒を遂げている人が数多くいることが分かってくる。

名古屋市にはガン患者の集まりである「いずみの会」があり、その生存率は何と九五%だという。名古屋大学の医学部も注目して追跡調査中であるという。これを各地のガンセンターや大学病院の生存率と比較してみればよい。三大療法一辺倒の医療機関の生存率はおそらく驚くほど低いと思われる。末期ガンから生還した体験者たちこそ、一番の良医というべきであり、「いずみの会」ではそうした体験者から色々アドバイスを受けることができるという。それがどれほどガン患者にとって免疫力を向上させることになるであろうか。

しかも、こうした自然の民間療法は安価である。高額の医療費を要求する先進医療や高価な薬を買わせようとする医者には要注意である。小衲もガン保険には入ろうといったんは考えたが、以上のような実情を知るに及んで、その愚を悟るに至った。

とはいえ、弟を含め、こうした情報を十分に集めきれなかったがために、図らずも十分にガンとの闘いのお力になることができなかった方々が、小衲の回りにはおられる。衷心より深くお詫び申し上げると共に、ご冥福をお祈り申し上げます。

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