「コロナ禍の中の禅修行」2021年01月【No.210】

新年明けましておめでとうございます。昨年はコロナ、コロナで明け暮れた年になりました。特に大晦日の日には、東京の感染者が一挙に1337人に達し、全国の感染者数も4515人にまで拡大しました。まことに憂うべき事態で、どうすれば感染拡大が収束の方向に向かうのか、一向にめどがつかない状況ですが、本年中には何とか下火になることを願わずにはおれません。

さて、こうした厳しい状況下でも、光雲寺では6月以降から坐禅会は休むことなく継続して開かれております。「南禅寺禅センター」の坐禅研修に参加する人が、例年よりはるかに減少していますが、月二回の月例坐禅会や毎土曜日の夜坐禅には、一定の参加人数があります。こうした坐禅研修では必ずマスク着用をお願いして、細心の注意を払っております。

 このような事態に直面して、かえって心の安らぎを求める人たちが増えているような気がいたします。先月の中旬に、光雲寺に下宿中の京大生の友人達から、禅や坐禅に関心があるので、是非とも光雲寺でご教示を賜りたいという要望があり、結局参加者は9人になりました。そして「それは結構なことだ。喜んでお受けするが、ただ法話を聴くだけでは不十分で、坐禅の実践も必要だ」という私の提案により、1時間の法話の後で、1時間の坐禅をいたしました。

法話の時間を1時間とったのは、11月中に3度の1時間の法話を経験して、1時間あれば、坐禅体験について存分に話ができるという思いがしたからです。ただ他人の話を聞くだけではなく、自らが坐禅を実践してみて法話の内容を実感できるものです。そのあとで夕食(薬石)も用意したのですが、もちろん学生さんからは費用は一切頂いておりません。禅修行に関心がある青年達なら、いくらでも支えたいという思いがいたします。

 1時間の法話を熱心に聴いたあと、1時間の坐禅も全員がとても熱心に坐り抜いてくれました。鄭重なお礼のメールを送ってくれた学生さんもいましたし、今回の体験は彼らにとってきっと何らかの成果をもたらしたと思います。今回の法話の中で、坐禅工夫についてとりわけ強調しましたのは、数息観や無字の公案工夫をする場合には、ともかくも本当に目の色を変えて真剣にしなければならず、しかも行住坐臥、なるだけその工夫を継続することを心がけなければならないということです。もし要望があれば、またいつでも坐禅と法話の時間をもちたいと思います。

 学生さん以外の方々も、坐禅や禅修行に関心のある方は、どうか一度坐禅会にご参加されることをお勧め申し上げます。

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