「光雲寺文化財特別公開」2018年11月【No.185】
光雲寺では11月1日(木)から11日(日)まで、京都古文化保存協会からの依頼で、「京都非公開文化財特別公開」の一翼を担い、久方ぶりの公開をしております。普段はなかなかご覧頂くことのできない貴重な寺宝を特別に展示しておりますので、皆様方どうぞお誘い合わせの上、お越し頂ければ幸いに存じ上げます。
こうした特別展を開催するに際しましては、色々と準備をする必要があります。先ずは、9月4日の台風21号の被害により何枚も飛んだ屋根瓦の修復や、一部が落ちてしまった漆喰壁の塗り直し、それに何本もの倒木を撤去する必要がありました。それと平行して、境内庭園の整備を例年より半月ほど早めて出入りの庭師さんにお願い致しました。庭師さんが連日精を出して勤めて頂いたお蔭で、見違えるような綺麗な庭園になりました。
しかし、大勢の方々にご覧頂くためには、雑草の草引きを広範囲にわたり綿密にしなければなりません。最初は全員で草引きを何度もしましたが、何しろお寺というのは広範囲です。最後は三度ほど草刈り機で全体の草刈りをして、ようやく何とか綺麗になったように思われました。とはいえ、よく見ると、仏殿横の坪庭などはまだ雑草があちこちに残っております。普段その場所を掃除する者が心を配っていれば、そのような手抜かりは無いはずです。それで小衲はお寺に下宿中の学生さんに、坪庭の除草をするように命じました。彼には原則として午前中バイトでお寺の清掃などをする代わりに、下宿代と食費を無料にし、幾ばくかの手当を毎月出すようにしています。彼が「草引きが終わりました」と言いましたので、小衲が点検すると、まだあちこちに残っているではありませんか。そのことを指摘すると、「仏殿の方からは見えないので、する必要が無いと思いました」という返答です。拝観のお客さんは順路として坪庭をぐるりと回る形で拝観することになります。「手を抜かずにもっと真っ正直にやらねばいかん」と注意して、やり直しを命じた次第です。小衲は常日頃「除草する際には一本たりとも残さぬように」と注意しているのですが、それを肝に銘じていなかったのかと衝撃を受けるとともに、上に立つ者は任せ切ることなく、いつも点検を怠ってはならないということを痛感致しました。
この出来事の前にも、同じような経験がありました。月例坐禅会では最初に境内掃除をしてから作務をしてもらうことになっているのですが、拝観前に、先般の台風のせいなどもあって、大層汚れの目立つ窓ガラスを拭くという作務を指示致しました。光雲寺のメンバーにも坐禅会を統率する人にも「今日は窓ガラス拭きをお願いします」と言ったのですが、終わって見ると、何と方丈の窓しか拭いていないではありませんか。しかも外から拭くために縁の下から出された長椅子二台はそのままに放置されたままです。窓ガラスがあるのは方丈だけに限りません。小衲は彼らがすべての窓ガラスを拭いてくれるものと思っていたのですが、信頼して任せ切り、途中の点検を怠った小衲自身の落ち度であると反省致しました。提唱の調べに没頭していた小衲は、彼らの作務の成果の点検を失念していた点で、彼らを責められたものではありません。これからはどのような作務でも中途で必ず点検に出向くようにする積もりです。
展示物の選定やその説明文の設定、案内板や結界などを設えてようやく準備が整ったように思われます。しかしまだ何か手抜かりがあるかも知れません。皆様方のご来訪をお待ち申し上げております。