「展示会回顧」( 月刊コラム【No.79】2009年12月 )
10月のコラムでお伝えしたように、この光雲寺では去る11月22日(日)より28日(土)まで、「東福門院と光雲寺」展と題して光雲寺紅葉展示会を開催した。幸い、紅葉の時節でもあり、予想以上の方々にご来訪頂き、光雲寺の総力を結集して行った甲斐があったというのが、正直な感懐である。お越し頂いた皆様方には衷心よりお礼を申し上げたい。
もともと今回の展示会は、耐震改修や新築などで色々とお力添えを戴いた方々に対して、多少なりともご恩返しをしたいという気持ちで当初企画したものであるが、日頃は「南禅寺禅センター」として数多くの坐禅研修者を受け容れている都合上、拝観希望者があってもお断りすることが普通なので、一般の方々も来訪されやすい紅葉の時節を選んだのである。
結果的にこの展示会は、開山・大明国師と中興・英中禅師、また特に、光雲寺をご自分の菩提寺として再興された東福門院様(徳川秀忠公のご息女で、後水尾天皇の皇后)を顕彰することになったのではないかと思う。木造東福門院像・伝運慶作の東福門院念持仏の聖観音像・伝聖徳太子作で足利尊氏の守り本尊と伝えられる弘誓(ぐぜい)観音像などは、いずれもこのたび新たに修復された姿でお参りして頂けることになり、解説担当者の詳細な説明により、「一層よく分かる」と好評であった。
また京都市指定の名勝庭園も、展示会に間に合うようにとほとんど休日もなしに池の護岸工事を敢行して頂いた造園業者の人たちや、剪定や境内整備をやって頂いた庭師の方にもひとかたならぬお世話になった。多くの来訪者が見事に色づいた紅葉を愛でられながら、庭や池の周囲を散策されているのをみて、展示会にご招待した庭師の人たちに、「皆さんとてもきれいだといって喜んでおられますよ」と報告すると、「嬉しいです」という正直な答えが返ってきた。
実は名勝庭園の整備はまだ中途段階なのであるが、今回の展示会の様子を見て、植栽や苔植えなどの追加工事もできるだけ速やかに行いたいという念願を強固にした次第である。そうして光雲寺を訪ねる方々が一歩足を中に踏み入れるだけで心が清浄になる、そういうお寺になるのが理想である。
ともあれ、今回の展示会の盛況はひとえに、開山・中興禅師と開基の東福門院様のご遺徳と、縁の下の力持ちになって頂いた方々のご尽力の賜物(たまもの)にほかならない。これにより、ますます仏縁が増加し、ひいては仏法が興隆すればと念ずるばかりである。 合掌。