「無農薬有機栽培について」2022年08月【No.229】

わが光雲寺では寺域の一区画を畑にして野菜を栽培しております。もちろん無農薬の有機栽培で、うね作りなどはほとんど私一人でおこなっております。これは私が住職として入山した当初から企画していたことで、禅宗ではいずれの道場でも広大な畑をもち、こと野菜に関しては自給自足の生活をしております。菜食を旨とする僧堂では野菜の栽培は非常に重要な作務のひとつになります。
私はこれまで何ヶ所もの道場で修行しましたが、いずれの道場も農薬などを使用しているところは皆無でした。

 それもそのはずで、自分の口に入れるものに有害と思われる農薬などを使う人はいないと思われるからです。しかしスーパーなどで販売されている野菜は、ご存知のようにそうではありません。どの野菜も通常は農薬を使用していて、いかにも食欲をそそるかのようなきれいな野菜が販売されております。無農薬有機栽培では虫がつきますし、収穫量も少なくなり、雑草除去のなどの手間も格段にかかり、その分どうしても値段が割高になります。

 農家の人たちは自分たちが食べる分は別に無農薬で栽培しているお宅が多いと聞きましたが、出荷する野菜はきれいでなくては消費者が買いません。これはわれわれ消費者にも問題があると思われます。見かけよりも、無農薬有機栽培で身体に良くないものを使用していないかどうかで判断するのが、賢明なのではないでしょうか。

 有機栽培をおこなっている人の話を聞くと、農協は農薬を使わない農家の野菜は受け入れないし、融資もしないということです。ひとくちに「農薬」といっても、殺虫剤、除草剤のほかに、有害菌類を防除する除菌剤があり、それこそ農薬には驚くほど数多くの種類があります。そして農薬の薬害を一番こうむっているのは、農薬を散布する農家の人たちだということです。薬害を一番受けやすいのは出生前の胎児や乳幼児などです。わが国は単位面積の農薬使用量ではOECD加盟国のうち韓国と並んで多いということです。

 合成化学農薬の薬害を知りたい方は以下のホームページをご覧になることをお勧めいたします。

https://issuu.com/greenpeacejapan/docs/pesticides-health-jp

 若手の農業従事者の中には、やはり「これではいけない」と無農薬有機栽培を志願する人たちが多いということです。しかしせっかく無農薬野菜を作っても、それを購入してくれる人たちが数多くいなければ、採算はとれません。わが身やご家族やお知り合いの健康のために、無農薬有機野菜を購入する人たちを結集したいものです。

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