「健康寿命を延ばすには」2025年09月【No.265】

 「健康寿命」という言葉があります。これは介護などの必要がないほど健康的に生活できる期間を意味します。厚生労働省が3年ごとに全国のおよそ20万世帯を抽出して調査しているということです。それによると、2022年時点の健康寿命は、男性が72,57歳、女性が75,45歳だそうです。確かに私の知り合いでも半数近くの男性がそれくらいの歳になると体調が不良になっているように思われます。

 私も介護の経験があります。してもらう方も辛いでしょうが、介護する人はそれにもまして大変な日々を送られていることと拝察致します。介護というのは何年続くか分かりません。孤立無援で奮闘しておられる方々もいることでしょう。男女とも最期の10年ほどは他人からの助力が必要になるということですが、お互い歳を重ねたら、健康寿命を延ばし、なるべく人様の面倒にはならないように心がけたいものです。

 健康寿命を延ばすための取り組みとしては、次のようなことが大切だと言われております。

1,喫煙は控える。タバコは百害あって一利なしです。他の人の迷惑にもなります。
2,過度な飲酒は控える。飲酒は多少ならば良いとのことですが、私の知り合いにも飲み過ぎて命をちじめたと思われる男性が何人かおります。お互い気をつけたいものです。
3,食事は年齢に応じた量をバランス良く。野菜や海藻や魚中心の食事が身体に良いようです。私のお寺では20畝(うね)の畑で無農薬野菜を栽培・収穫しております。ゴーヤなどは幾度となく大量に採れました。またカボチャも20個ほどできております。煮物やカボチャスープを作ったら、大好評でした。2ヶ月に一度血液検査を受けている名医の先生が、ことあるごとに「コンビニ食はとても危険だから食べないように」と忠告されます。日頃の食生活に心を配ることが大切だと思います。
4,活発な身体活動を行う。私は毎朝2時間ほど孫くらいの歳の離れた学生さんたちと一緒に掃き掃除や草引きなどの作務をしております。お寺全体の状況を見て、「今日はこの作務をやって下さい」と指示して、自分が率先して身体を動かしております。
5,睡眠時間をしっかり確保する。修行時代には睡眠時間を削って坐禅に励んだものですが、現在は充分な休養時間をとっております。
6,孤独にならず、社会関係を保つ。話し相手もなく一人暮らしを続ける人は認知症になりやすいと聞いております。気の合う知り合いを見つけて絶えず笑顔で穏やかに暮らす日々を送りたいものです。中には他人の非難をする人がありますが、他人のことをとやかく言うよりも、自分の日頃の言動を反省したいものです。
7,定期的に健康診断を受ける。私は前述のように2ヶ月に一度、名医の血液検査を受けて、身体の状態を確認しております。

 禅僧の立場から言えば、たえず腹式呼吸・丹田呼吸を行い、数息観でも随息観でも良いので、日頃から三昧境を養って頂きたいと思います。それによって廻りの物事が気にかからなくなって、心が常に平穏になっていきます。皆様方の健康寿命の長からんことを御祈念申し上げております。

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