「青年教育と禅修行」2016年6月【No.156】

最近、来年僧堂に掛搭する予定の青年が、僧堂生活に資することもあろうかと思って拙寺の坐禅会に参加してきたので、これも何かの因縁かと思い、彼に週一度ほど、江戸時代の名僧方が雛僧の心得を説き示された『雛僧要訓』や『論語』などを […]

「熊本地震と原発事故」2016年5月【No.155】

4月14日の夜に熊本を襲った震度7の地震の余震がなかなか収まりません。半月を過ぎて地震回数はすでに千回を超え、大分県などにも連鎖して地震を誘発しております。前例を見ないほどの強い余震におびえる被災者の方々のご心労はいかば […]

「保福長慶遊山」2016年4月【No.154】

「保福長慶遊山」というのは宗門第一の書といわれる『碧巌録』の第二十三則の公案です。小衲は京都近郊の長岡禅塾で、40年以上も前にこの古則を森本省念老師が提唱された際の印象をいまだ忘れることができません。そのとき老師は『槐安 […]

「涓滴も施さぬ」2016年3月【No.153】

標題に掲げた「涓滴(けんてき)」という言葉は、「水のしたたり、しずく」の意味で、転じて「極めて少ないものの喩え」として使われます。従って、禅宗で使われる際の「涓滴も施さぬ」とは、「一点の妥協も人情も入れない」という意味に […]

「若者たちの心の荒廃とその打開」2016年2月【No.152】

拙寺に坐禅に通っておられる教職員の人たちから最近うかがって、本当に驚いたことがあります。今どきの小学校などでは、授業中に窓から出入りしたり、ゴミ箱を蹴飛ばしたり、子供たちの好き勝手し放題が蔓延しており、ベテランの先生方も […]

「坐禅の工夫について」2016年1月【No.151】

新年明けましておめでとう御座います。旧年中は、あいつぐ火山噴火や「激甚災害」に指定された鬼怒川の堤防決壊などの自然災害がありましたが、今年は何とか大きな天変地異などのない平穏な一年になってほしいものです。 「一年の計は元 […]

「笑いと禅と免疫力」2015年12月【No.150】

最近よくガンにかかった有名人の人たちのことが話題になります。罹患した人の大多数が、どうやら手術や抗がん剤などの化学療法や放射線治療といったいわゆる「三大療法」に救いを求めているようです。ガン以外にも、病気になれば多くの人 […]

「幽谷深山、華自ずから紅なり」2015年11月【No.149】

今年も二人の日本人研究者によるノーベル賞授与が続いたことは、誠に喜ばしいニュースとして日本中を駆け巡りました。生理学・医学賞の北里大学・特別栄誉教授の大村智(さとし)氏と、物理学賞の東京大学教授の梶田隆章(たかあき)氏で […]

「彼岸に到る」2015年10月【No.148】

拙寺の光雲寺は秋の紅葉で有名な永観堂の近くにあります。永観堂は南禅寺より古くからある浄土宗の寺院で、本来の名は禅林寺というお寺ですが、南禅寺本山への行き帰りや朝夕の柴犬を連れての散歩の際に、その前を横切ることが良くありま […]

「真心再論」2015年9月【No.147】

先月のコラムには「真心を育てる」と題して、TBSテレビの『天皇の料理番』という番組を取り上げ、主人公の秋山徳蔵氏の言葉を引用しながら、真心をもって行うことの重要性をお話し申し上げましたが、よくよく考えてみまするに、「真心 […]

「真心を育てる」2015年8月【No.146】

TBSテレビ60周年特別企画として『日曜劇場 天皇の料理番』という番組が7月上旬に大好評の中に全12回の放送を終えました。回を追うごとに評判と視聴率が上がっていったドラマですので、ご覧になった方も多くおられることでしょう […]

「禅との出会い・坐禅の動機」2015年7月【No.145】

光雲寺は臨済宗南禅寺派に属する大本山南禅寺境外塔頭で、「北ノ坊町」と称されるところに位置しておりますが、「南禅寺禅センター」の看板を掲げての坐禅研修では、修学旅行の生徒さんたちを初めとして、一般成人の方、諸外国の方など、 […]

「法縁・仏縁」2015年6月【No.144】

四月号のコラムで、南禅寺と妙心寺の両方の管長を経験された近代の名僧、高源室・毒湛匝三老師(天保十一年ー大正六年、1840ー1917)の一百遠年諱のことに触れましたが、去る五月二十二日に、南陽院での落慶法要に引き続いて南禅 […]

「更に参ぜよ三十年」2015年5月【No.143】

大本山南禅寺第二世住持の「南院国師(規庵祖円禅師)」(弘長元年—正和二年、1261−1313)は、南禅寺では「創建開山」と言われるほど、その功績を称揚されているお方です。十歳以前から禅修行の道に入られ、無学祖元(仏光国師 […]

「南針軒・河野霧海老師」2015年4月【No.142】

南針軒・河野霧海老師(元治元年—昭和十年、1863−1935)は伊深の正眼寺の泰龍老師と虎渓山の潭海老師に参じたのち、愚堂国師の再来と言われた高原室・毒湛老師に嗣法して、南禅寺の管長や僧堂師家を歴任され、「古尊宿の風あり […]

「全人的医療と禅」2015年3月【No.141】

「中外日報」という宗教新聞があります。仏教各派だけではなく、神道や新興宗教についても、色んな情報を載せている新聞で、同じ宗門内の事情もここから初めて知ることがよくあります。 この新聞に、全人的なホリステイック医療を実践し […]

「典座の醍醐味」2015年2月【No.140】

「典座(てんぞ)」というのは禅寺の食事を司る重要な役職の一つです。しかし世間では一般に食事係は低く見られがちです。 西洋においても、かの大哲学者のイマヌエル・カント(1724−1804)がご婦人方を前にして女性の台所を司 […]

「作務の法悦」2015年1月【No.139】

新年明けましておめでとうございます。本年が皆様方にとりまして良いお年であることを心からご祈念申し上げます。 この光雲寺では昨年11月21日から12月7日までの18日間、京都市観光協会の協賛により4年ぶりの特別拝観を行いま […]

「公案工夫の妙味」2014年12月【No.138】

先月のコラムに、最近の雲衲の道心低下の克服について、道心を養うこと、法理会得の必要性、公案工夫の実践について言及させて頂いた。公案工夫に関しては、高峰原妙禅師のような勇猛心を奮い立たすことができれば申し分はないのであるが […]

「禅の公案工夫」2014年11月【No.137】

近頃は在家から発心して出家するものも少なくなり、大方の臨済宗の専門道場も雲衲の数が減っていると聴く。その中で堅固な道心をもって目の色を変えて真剣に日夜工夫三昧に邁進する者は、まことに稀であろう。雲衲の師匠の中には、「弟子 […]

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